(一)効果的な学習指導法 感性学習(指導)と理性学習(指導)の特長

発音

感性学習

a. 発声法の指導を行わない、マネだけで発音させる

b. 多様な発音練習と四つの声調の練習を行わない

c. 厳しく発音の訂正をしない

d. 発音の理論知識を教えない

e. 10人の内、2~3人しかマスター出来できない

f. 片言会話のレベルにしか達せない

理性学習

a. 発声法の指導をしっかり行う、発声法や発音のコツを教える

b. 多様な発音練習と四つの声調の練習を沢山繰り返す

c. 厳しく発音の訂正をする

d. 発音の理論知識を教える

e. 10人の内、7~8人発音をマスターできる

f. 日常会話が流暢に話せ、上級学習の基盤をしっかり築く

語彙

感性学習

a. 簡単な語彙とフレーズだけ教える

b. 同意語の使い分けを教えない

c .コミュニケーションの際、誤解を生じやすい

理性学習

a. 基本語彙ではなく、難度が高い語彙とフレーズも教える

b. 語彙の正確な意味と適切な使い分けを教える

c. 文法を理解させた上で、語彙とフレーズのやりくり、センテンス作りを行わせ、作文を書かせる

文法

感性学習

a. 文法(文型、時態、慣用句)の詳しい説明をしない

b. 文法の実践応用を導かない、内容が浅い

c. 学習内容の応用ができない。深いコミュニケーションができない

理性学習

a. 文型、慣用句、時態をしっかり一歩一歩系統的に指導する

b. 文法を即実践させる(正確に流暢に話せる為の応用練習をさせる)

c. 聞く、話す、読む、書く、訳すの総合力アップのトレーニングを施す

効果とレベル

感性学習

a. 学習者は感性学習実践から学ぶため、伸び悩みと挫折が生じやすい

b. 片言会話レベルに到達できる

理性学習

a. 実践と理論の両面から習うので、伸び悩みと挫折が極めて少ない

b. 業務担当レベルに到達できる

* 学習を進めるには理性学習をメインに、感性学習を補助的にするほうが効果的です。

(二)効果的に学習できる条件

A.客観要因

1) 効果的な教授法に恵まれる →(学校側の責任)

2) 総合力をアップできる教材に恵まれる →(著者と学校側の責任)

3) 上手に教える指導者に恵まれる →(学校側と教師側の責任)

B.主観要因

→ (学習者は下記の要素によって1)~5)の力が違う)(学習者自身の問題)
(それによって学習効果も大きく異なる)(学習者自身の原因)

1)語感力

a. 語感が生まれつきよい人

b. たくさんのトレーニングを積んで語感力を磨く人

2)理解吸収力

a. 教師の解説用語による
(初心者と中級の段階では学習者の母国語で解説するのがベスト)

b. 教師の解説方法(教授スキルに長けるか否かによる)

c. 学習者の学習能力

3)記憶力

a. 外国語学習においては高く要求される

b. 記憶力の良い人は外国語を習う時に、得する

c. 歳月に伴い落ちる
(成人してから新しい言語への挑戦は早ければ早いほど良い)

4)実践応用力

a. 積極的に応用する意欲

b. 話せる環境に恵まれる

c. 自ら使う環境を創る

5)努力

a. ひたすらに努力する(効果が半分)

b. 良い客観要因・条件に恵まれた上で学習を進める

c. 効果的な学習ポイントを押えた上で努力する(効果が倍)

学習者は自分自身の強みを生かしながら、弱みを克服して、以上の五つの力を鍛えなければなりません。

(三)効果的に学習を導く良い教材

大人になってから外国語を習う際には、聞く、話す、読む、書く、訳すという五つの力を万遍なくレベルアップしなければなりません。

そのために数種類の教材を併用する必要があります。

1. 精通するための「精読の教材」、

2. 会話力をレベルアップさせるための「会話教材」

3. 読む力をレベルアップするための「閲読教材」

4. 聞き取る力をアップするための「ヒアリングトレーニング用教材」

5. 通訳翻訳の力をアップする「通訳翻訳の専門教材」

業務担当レベル到達を目指す学習者が、「精読教材」で、上記の五つの力を磨けばよいでしょう。

ヒアリングの教材と通訳・翻訳の教材を使って特訓を受ける必要は特にありません。

しかし、翻訳者・通訳を目指す学習者はヒアリング及び翻訳専門教材を使って特訓を受ける必要があります。

数種類の教材の中で特に大切なのはメインの役割を果たす「精読教材」です。

なぜかと言えば「精読教材」は質の学習を施す教材だからです。

外国語の学習においては質の学習と量の学習のバランスがとても大切です。

質が悪く、量ばかりを増やす学習は、基礎(発音)が弱く、躯体(文法)工事に亀裂がある、歪んだ水漏れも発生する欠陥住宅を建てるようなものです。

通じない内容や間違い混じりの表現をしたり、細やかで、深いコミュニケーションが取れなかったり、検定試験の上級レベルに合格できなかったり、業務担当の語学力や通訳・翻訳能力が身に付けなかったりなど、様々な悪影響が出ます。

そこで、以下に教材の大枠の形をいくつかご紹介します。

1.精読教材(精通するための学習書)

質の学習を施す総合力アップの学習書です。

この一冊で聞く、話す、読む、書く、訳すという五つの力が同時にレベルアップでき、各種検定試験では80%以上の点数が取れるでしょう。
(当校のオリジナル教材はそのような教材です)

2.閲読教材

量の学習を施す学習書です。

上級学習の段階では、幅広く新聞記事、雑誌の文章、小説、人物伝などの文書を通じて、語彙量や閲読量を増やす学習が必要です。

3.会話教材

各種類の会話学習書+実践会話

(中では日本語のカタカナで中国語の発音を表記する会話教材は除外。

100しかないカタカナで1600もある中国語の発音を表記できない為、カタカナをふった教材を使って習っても通じないから、時間の無駄です。)

4.ヒアリング教材、 5.通訳&翻訳教材
通訳&翻訳者になるための専門教材(通訳&翻訳者を志す方には必要です)

(四)上手に教える教師

一流の教師の指導を受けると、「事半効倍」(半分の労力で、倍の効果を上げる)の学習効果があります。

担当教師が一流であるかどうかを判断するポイントは下記のいくつかが参考になると思います。

1) 教師業を熱愛し、情熱を持っている

2) 高い国語レベルの持ち主

3) 通訳が出来るほどの高い外国語レベルの持ち主

4) 教授言語の理論知識を熟知している

5) 教授言語の理論知識を日本語で分かりやすく上手に教えられる

6) 教授スキールが高い

7) 鋭い感知力を持っている

(五)伸び悩みを解決する六つのコツ

1) 語彙やフレーズを増やすこと

2) 習った単語やセンテンスをしっかり覚えること

3) 文法やキーポイントをさらに学習し、しっかり理解すること

4) 習った内容を実践、応用すること

5) より高いレベルに導いてくれる「良い先生」をみつけること

6) 必要な場合に、学校や教材及び教師を変えること